「佐伯は雑用?」
「そ。私去年も雑用だったし」
「好きだなー。雑用」
「色んなとこ手伝うほうが飽きなくて楽しいじゃん」
あずさは去年も雑用係で、色んな係に出没しては渇を入れてた。
当時1年だった直人のクラスは男子も女子もあずさのことを怖がってたけど、最後には優勝して、みんなで抱き合ってたのを覚えてる。
今年の1年も、最初はあずさに怯えんのかなって、それを見んのがちょっと楽しみ。
「よっしゃ、無事決まったし帰っかな!」
鞄を持って、あずさが歩き出す。
「あずさ、」
引き止めたから、ドアを出る手前で、あずさの足は止まった。
「あん?なによ」
「……。」
聞いて……答えるんか、こいつ。
素直に答えるやつじゃ、ないけど。
でも……
「あー、忘れてた。あの話の続きね?」
「…、」
「じゃあすぐるくん、途中まで一緒に帰りましょうか?」
「……。」
あずさが俺を誘うから、リュックを背負って歩きだす。
一緒に帰っても、誰も、なんも変な目で見ないのは、相手があずさだから。
男みたいな、女友達だから。