「……へこむ。」



ヤマたちがキープしてくれてた場所からは、右斜め前にあの子が見える。


じーーっと見つめるあの子の後ろ姿にすら、今は若干へこむ……。



「ぅお……。」

「なに、どした?」

「や、なんでも……。」



あの子のことじーーっと見てたら、目が合った。


……あの子の、友達と。



やべぇって、すぐに逸らした怪しすぎる視線は、適当にフラフラと泳いでく。



「雄介~……俺もぅダメ、」

「ん?腹いてぇの?食ってやろっか?」

「ちげー、し。」



あの子の友達と目が合って、やべぇと思って逸らしたくせに、やっぱり気になってチラ見を繰り返す。


恋は仕勝ちでがんばろうって思うのに、ただの通行人でしかない俺に出来ることなんて、やっぱりなんもわかんねぇ……



「……んだよ。」

「は?」



見てたあの子の、その向こう。


あずさが、じーーっと俺を見てる。


いや……観察してる。


スーとマンボーがラブラブなせいで、隣のあずさはすんげぇ暇そう。


暇だからって俺の観察すんなよ。



「……見てんじゃねぇよ。」

「誰と喋ってんの、お前」