混雑する学食で、その子がどこに座ってんのかは、全然見つけらんない。


あの子を探す目が代わりに見つけたのは、俺らの2つ先のテーブルにいる、瞬くんとマンボーの姿だけ。


マンボーの髪はまた短くなっていて、それが昼休みの俺らん中での話題になった。



「マンボーっていつから坊主なの?」

「中学ん時は坊主だった」



雄介はマンボーと同じ中学で、マンボーは今は瞬くんと同じクラス。


万田って名字と坊主だってことを組み合わせて、中学時代にはもう『マンボー』って呼ばれてたらしい。


野球部なわけでもないマンボーが、なんで坊主なのか。


それは同じ中学の雄介も、クラスメイトの瞬くんも、誰も知らない。



いや、つーかそんな話はどうでもよくて、……それよりも、あの子がどこに座ってんのか……


そっちのが、断然大事。




「あの、」



聞こえた女子の声に、みんなが一斉に視線を向ける。


向けた先には、1人の女子がいた。



俺には関係ねぇやって……誰よりも先に顔を背けて、目だけであの子探しを再開。


だって多分、ヤマか菊に用だろうし。




「大原、先輩、」

「……。」




お……れ、……?