「聞いてる?俺の話」

「きーてるけど、頭に入んない。」

「……」



黙り込む菊の、その隣に……あずさが立った。


仁王立ちで。



「誰、相手」

「……。」

「どこの誰」

「……。」



こいつは、菊とは違う。


答えないなら答えるまで、どこまでだって追って来る。



「……知らない、し。」

「は?」



答えなきゃ……多分、夜も寝れないことになる……。



「どこの誰かも知らないわけ?」

「知らない……。」

「なんにも知らないわけ?」

「……。」



尋問……。


なんでそんなこと答えなきゃなんねんだよって思うのに、こいつから逃れる方法は、素直に答えることしかない。



「……1年、…」

「お、1年なのか」

「他は?」

「……。」

「他」

「……そん、だけ。」



ほんとにそれだけしか知らないから、もう答えることは、なにもない。


だからあっち行けや。



「じゃあさ、1年の教室に調べに行けば?」

「は……、」

「なんなら私が行ってやろーか」

「い、い!やめろ!まじやめろ、よけーなことすんな!」

「ぷふー!すぐる顔赤っ!」



絶対……完全に、面白がってる。


あずさの顔に『面白いもん見つけた』って、書いてやがる!