「ったく。あいつ2年になって調子乗ってねぇ?」

「いーじゃん。学校馴染めたみたいで。」

「まぁ、そうだけど……」



あんな元気な直人は、実はかなりの人見知り。


気を許した人間にはとことん絡みつくくせに、馴染んでない人の前では相当なネコを被る。


『俺、直人ッス!』ってのが『僕、…直人と申します。あ、喉渇いてないですか?お茶どうぞ』になる感じ。


入学してきたころはヒナタちゃんのことで落ち込んでたから、ネコを被るどころかずっと塞ぎこんでいて、見事に友達作りのチャンスを逃してた。


それに加えての『直人暴走事件』。


一気に危険人物とされた直人を、一緒に入学したはずの同級生たちは警戒して、近づこうともしなかった。


その時は俺らもほんとに心配して、影からこっそり1年の教室覗きに行ったり、1年の前で直人の良さをわざと大声で言い合ったり。


俺らなりにできることはやりつくした頃、直人もヒナタちゃんから卒業して、自然に友達の輪に馴染んでいった。



「俺、先、席取っとく。」

「おぅ」

「誰か来る?菊とかも来ると思うけど。」

「あー、マンボー来るわ」



早くしないと席が無くなっちゃうから、取り合えず場所取りに向かう。


瞬くんの友達も合わせると、多分6,7人。


丁度6人用の端にあるテーブルを、キープ。