高校一年生の9月、

高跳びの県予選、

155㎝、

3回目。

もう2回失敗した。後戻りはできない。

これを跳べば関東大会に行ける。

審判の旗が降りた、3回目スタートの合図だ。

軽くジャンプをして、ゆっくり深呼吸をする。

いつもより頭はクリアだ。体も軽い気がする。

今の私なら行ける、と言い聞かせ大きな一歩を踏み出した。

二歩、三歩とリズミカルに進んでいく。

最後の三歩はタ、タ、タン!と勢いを出し、踏切へと繋いだ。

ふわっと体が浮く感覚、いい感じだ。

腰が少しバーに当たった。

着地してすぐに体を起こし、バーに目をやる。

少し揺れている。

(落ちないで…!)

何秒経っただろうか。

まだバーは落ちていない。

審判が白旗を上に掲げる。

バーは落ちなかった。

関東大会への切符を掴んだ。

同じ部活の友達の歓喜が聞こえる。

もう、そんな騒がなくても、と呆れながらも

涙で一杯になった目を腕で拭った。

私は今どんな顔をしているのだろう?