今日は私の願いが叶ったかのように
雲ひとつない晴天。
寒いこの時期なのに
日差しがあるからか少し暖かくて、
「暑いですね」
「う、うん…」
颯太さんは上着を脱いでから運転を始めた。
(やばい……似合いすぎてる)
颯太さんの今日の服装は
いつものようにスーツではなくて、
一昨日の買い物で私が選んだ服を着てる。
テーマはノームコア。
シンプルで当たり障りのないスタイル。
柄物だとか
古着っぽい物だとか
少し冒険したスタイルとかよりも
颯太さんにはこういったシンプルめなスタイルが絶対似合うと思って。
案の定、最高に似合ってる…。
ジーッと見てしまったからか
颯太さんはその視線に気がつくと
「そんなに見られるとなんだか照れますね…」
少し照れくさそうな表情を浮かべた。
キュンッ
たったそれだけなのに、私の胸は高鳴ってしまう。
颯太さんの表情だけでドキドキしちゃうなんて……今日の私はキスとかされると爆発するんじゃない?
何度も颯太さんの横顔に見惚れて
何度も胸が高鳴る。
そんなことを繰り返していれば、
「わあ…!ついに来ちゃった!!」
目的の場所へと辿り着いてた。
なんだかもう、秒だった。
遠いはずなのに秒で着いた気がする。
入場する前、私の瞳に映る中の世界。
そこにはここの遊園地のキャラクター達が
早くおいでよ!と出迎えてくれていた。
(か…可愛いすぎるっ!!!)
口元の緩みが止まらない私。
颯太さんはその様子にフッと笑いながら
手元にチケットを用意してくれて、
私の中じゃ幻のチケットだというのに
「思っていたよりも簡単に手に入りましたよ」
サラリと言われたその言葉に唖然としてしまう。
いやいや、絶対取りにくかったはず…
「お金返すね」
「いりませんよ」
「ダメ!ここのチケット高いの知ってるんだから」
すると颯太さんは「うーん…」と唸り、
「りんごジュースのお礼、ってことにしましょう」
「!!」
その言葉と共に
するりと手を握られる。
えっ、人前なのに…いいの?
その行動に驚きながらも
「やっぱり休日だと人が多いですね」
颯太さんはそのことに関して
特に何も言わないから
(いいんだ…!)
思わず笑みが溢れ、
私もその手をギュッと握り返した。