「っーーーー」





何度も何度も繰り返せば


はぁ…と息を漏らした颯太さんに
肩を押されてしまった。






「紀恵さん……」


「なに…?」






お互いの息はとても熱くて


視界に映る颯太さんはとても色っぽくて






もっといろんな表情を見せて欲しい。



私だけしか知らないような
そんな表情を見せて欲しい。





その欲望に駆られて

再び口元を近づければ






「ご飯、食べましょう」






私の口元は
颯太さんの手によって軽く塞がれた。






「冷めますよ」


「いいもん冷めても…」


「ダメです。」






男の力に叶うわけはなく、


ヒョイッと身体を持ち上げられると






「ほら立って。」


「……………………」






気が進まないままソファーから下りて
食卓に向かう。



食卓には既に準備済みのご飯達。


いつの間に準備したのか。







(………もっと、したかったのに)






パエリアも大好きだけど、


ウンザリさせるような欲望に駆られている私を満たして欲しいのにー…