(それにしても散らかり方がえげつないな…)




きっちりしているカズとは正反対の性格。


どうやら笑顔以外は似ていないらしい。






隣の部屋からはさっき言っていた通り
不倫モノの絵本とやらを
カズに読み聞かせているみたいで



チラリと様子を伺えば



カズは布団に横たわり、
隣で同じように寝そべる麗華さんを
優しい目で見ていた。




住んでいる場所は違っても
世界でたった1人の妹なのだから





(大事なんだろうな。)




兄妹というものが
少し羨ましいという気持ちになる。







昔は兄弟という存在に憧れを持っていた。



もちろん俺には兄弟がいない。大人になった今はその憧れも薄れていったのだが。




憧れだったあの時
隣の家の女の子の存在を知って



その年の差に
妹みたいだと密かに思っていた。




妹のように接していたあの頃だけど


今じゃその人は俺の彼女になっていて


あの時とはまた違った顔を見せてくれる。




「颯太さん」と潤んだ瞳で呼ばれると、危険な領域に踏み入れてしまいそうになるほど。








…………けど、約束を交わしたから。


"高校を卒業するまではしない" と。


それだけは絶対に守りたい。








もしその領域に手を出してしまえば
紀恵さんの両親に合わせる顔がない。



ましてや、
妊娠なんてものをさせてしまったら…








「…………………」




考えるだけでもゾッとする。





ご両親になんて言われるか。

永遠に会わせてもらえないかもしれない。







(とりあえず、卒業したら挨拶に行った方がいいな…)




まだまだ先のことだけど

俺はもう紀恵さん以外は考えられないよ。






だからキミも


それぐらい







俺に依存して。