ホームは一つしかなく、無人駅のようにひっそりしている。
まだ薄暗い空が、やけに侘しい。
古ぼけた駅舎にある時計を見ると、6:25だった。
とりあえず、上り列車の時間を駅員に訊ねると、私が乗ってきた電車が20分後に出発すると教えてくれた。
それにしても、寒すぎる。
温ったかいモノが飲みたいな。
駅舎を見回して自動販売機を探してみたが、見当たらない。
「あのぉ。近くに自販機はないですか?」
「ん? それならあそこの店にあるよ」
駅員は、○○商店と看板の出てる寂れた店を指したので、仕方なく、切符の精算をして外へ出た。
静まり返った寂しい町。
昭和の田舎町にでもタイムスリップしたみたいだ。
一つしかない外灯がぼんやりしている。
タクシーもいなければ、バスも停まっていない。
ぽつんと公衆電話があるだけ。
自販機で缶コーヒーを買うと、町の案内板を見た。
すると、海岸が近いことを知る。
「行ってみようかなぁ」
そう呟いて、缶コーヒーで指先を温めながら歩き出した。