「ところで、もう征司さんはいいの?」
「もういい。毎日うるさくってイヤ!」
真央の言葉に征司の顔が浮かんでうんざりした。
征司のメールや電話攻撃はまだ止まらない。
『ごめん。もう二度としないから』
こればっかり。
アホか!
もう三度目じゃない!
謝れば全てがチャラになるとでも思ってるのか?
私はその言葉を二度も信じたけれど、もう疲れた。
「過去の恋愛は捨てて、新スタートするのよ」
私は真央に宣言して、高城さんの話に戻した。
「ねえ、高城さんっていくつ? 結婚してる?」
「お! 早速リサーチですか?」
「えへっ、教えてよ」
「だったら自分で訊けばいいのに」
「だって、恥ずかしいじゃない!」
「あんたって、そういうところ消極的だよね」
「ねえ、いいから教えてよ」
「わかった、わかった」
真央は知っている限り教えてくれた。
二年前に独立して、友人と設計事務所を始めた33歳独身だという。
私たちの会社のプロジェクトに参加しているようで、週二回は来社しているらしい。