翌日は仕事に没頭して、征司のことは考えないようにした。
あれから留守電やメールには、征司からのメッセージが大量に残されている。
でも、私は内容を確認せずに消去した。
だいたい、内容は解かる。
謝りと言い訳のメッセージだろう。
前に二度も、同じ事があったから。
でも、今度は許さない。
もう、別れる覚悟は出来ている……。
けど、勿体無いかな? とも思う。
計算高くて、ずるい女の私が囁く。
私は『恋愛』と『結婚』は別物だと思っている。
惨めな結婚生活なんて考えられないし、苦労なんてしたくない。
愛情なんて最初だけで、いずれは消えてしまう蜃気楼のようなもの。
見えない物にすがるより、見える確かな物を手に入れたい、とずっと思っている。
征司との付き合いは恋愛というより、私の将来のため、と言った方がいいかもしれない。
だから、二度の浮気は目を瞑ってきた。
けれど、どこかで、それでいいの? と問いかける自分もいた。
それが、今回は勝ったようだ。