「さあ、着きました。寒いですか?」 「さっきより温かくなりましたけど」 「そうですか。腹も減った頃だし、丁度いいですね」 「あ、はい……」 男はリヤカーをそのままにして軍手とジャンバーを脱ぐと、ポケットから鍵を取り出して裏口のドアを開けた。 「え? ここって……」 「あ、僕の仕事場です」 「ああ」 「さあ、どうぞ」 とにこやかに促す。 「お邪魔します」 私は店に入った瞬間、目を見開いた。