「お一人ですか?」
「……」
「もし良かったら、朝食でもいかがですか?」
「はぁ???」
「うまいパン屋があるんですよ」
「いいです」
なんで、あんたと朝ご飯を食べなきゃいけないのよ。
ってか、こんな人でもナンパするんだ。
体育会系なのに、結構遊び慣れてたりして……。
「じゃあ、行きましょう」
「はあ?」
男は私の腕を掴むと行き成り立たせた。
「ちょ、ちょっとぉ!」
「寒いから走りましょうか?」
「私は『いいです』って言ったんです」
「だから、行きましょう」
「違います。『NO』ってことですよ」
「ああ、そっちか。だったら行きません、って言えばいいじゃないですか」
「何言ってるんですか? 勘違いしたのはそっちでしょ?」
「アハハ、そうですね。じゃあ、お詫びにご馳走しますよ」
「はぁ?」
「さ、行きましょう」
男はズルズルとズタ袋を引きずって歩き出す。
随分、強引な男!
誰が、あんたなんかと一緒に行くもんですか!!
と思っていたけど、結局、つられて歩き出してしまった。