太陽が完全に姿を現すまでブツブツ文句を言い続けていると、ごつい男がこちらに歩いてくるのが見えた。

私は泣き顔を見られたくなくて、体育座りのまま顔を伏せたのに、


「おはようございます!」


と、やけに元気な大声で男は挨拶をしてきた。


「お、ぉはょぅ……ござぃますぅ……」


私は仕方なく、少しだけ顔を上げて返事をした。


「いやぁ、寒いですねぇ」

「……」

「でも、天気が良さそうですね」


男は眩しそうに朝陽を眺めた。


「はぁ……」


私は早くどこかに行ってよ、と願ったのに、男は話し掛けてくる。