―――――

『雪穂、どこにいるの?』
近くにあったベンチに座って、暫くボーっとしていた。

涙が止まらなくって、顔を隠したままその場から動けない。 メッセージを受信したと同時に涙を拭い、メッセージに返信する。

『今お土産選んでたの~!海鳳はどこ~?』
とつめて明るい文章を作ってはみたものの、泣き腫らしたこの目は見せれない。

こんな顔を見せたら、優しい海鳳は絶対に心配するから。   一回トイレに行って顔を洗ってから部屋に戻ろう。

『俺はもう部屋に戻って来てるよ。早くおいでよ』
その文章を見て、ホッと胸を撫でおろす。

まだ桜子さんと一緒に居るんじゃないかって思ったから。  もしかしたら今日は帰ってこないかもしれない。 海鳳は私と、桜子さんは陸人さんと一緒に来ているのに、そんなネガティブな考えに支配されてしまった。