「…………ねぇ、音怜くんが川高さんと歩いてるよ。付き合い始めたのかな?」
「そうだとしたら、川高さん、子供っぽいし全然音怜くんと、釣り合ってないんですけどー」

女の子たちの言葉が初めて冷たく胸に突き刺さった。
ううっ………、心が痛い。
音怜くん、“じれじれ王子”って呼ばれてるくらい有名だから、モテるんだな~、
あはは………。

そう私が思っていると、隣の彼が口を開く。

「俺さー、入学式のあとの記憶全然ないんだよね」
「へっ!? ど、どうして?」
「自分の教室の机に座ったまでは覚えてるんだけどさー。それからすぐに爆睡しちゃって、分かんないんだー」
「一人一人、自己紹介してたんだよ」
「あー、だからつぼみちゃん、あんな事いってたんだ」

おもわず「へ?」と首をかしげる私。

「なぜか、つぼみちゃんの声だけ聞こえてたんだよねー。あと、女子の嫌味」
い、嫌味は余計だよ……!
やっぱり、意地悪だなぁ、音怜くんは。