ぽんぽんと、私の胸元をパーで2回ほど叩く音怜くん。
これって………、励ましてくれてるんだよね。
「ふふふっ、ありがとう。音怜くんって普段はちょっと意地悪だけど………、
そういうとこ、優しくて、かっこいいと思う」
私は、音怜くんを見て、顔をほころばせた。
すると、何故か目を見開く音怜くんは、そっぽを向いてしまう。
えっ? どうしたんだろうっ………?
「音怜くん、私なにかまずいことでも言った………?」
「………あー、言った」
「えーっ!? ご、ごめんなさいっ! こ、今度から“意地悪”なんて言わないようにするからっ!」
「いや、そうじゃなくてさー……」
…………?
「あー、どーでもいいでしょー! 俺、もう行くー!」
あくまで顔は見せないようにして、急に立ち上がった音怜くん。
「ちょ、ちょっと待ってよ! まだ話しが途中だよ!?」
私は思わず、彼の上着の裾をつかむ。
「………っ、放してくれる?」
「ううん、私、音怜くんに変なこと言っちゃったんでしょ? それがなにが
聞くまで、逃がさないよっ!」