「俺、さっき“将来が期待されている”って言ったじゃん」
「それは、期待されているだけであって、私、それに答えられる力は無いよ?」
すると、なぜかため息を吐く音怜くん。
「お前、もっと自分に自信もったらー? ストイックすぎるんだよ」
す………ストイック?? 私が?
首を傾げていると、音怜くんは、ちょんちょんと蕾の先端をつつく。
薄いブラウンの瞳がこちらを向いた。
「“根強き心を元にして、何事に対しても諦めることなく未来を切り開く力を自らに秘める”───、それが、つぼみの持っている可能性で由来なんだよ」
「…………“可能性”」
「そ。内在的なパワーがあるってことにもなる」
「…………じゃ、じゃあ私、他の花みたいに開くかな?」
すると──、朝の太陽に照らされた音怜くんの顔が笑った。
「うん、なれると思う。俺が保証する。てか、それでも咲かなかったら、咲かせてあげるよ、つぼみちゃんの心の蕾」