他のクラスメートたちもガタガタと、お喋りをやめて移動する。
先生が入って来て、授業が早速開始された。

それから淡々と、何事もなく時間は進んで、午前中の授業はすべて終わった頃、
私はお昼を、教室で食べようとお弁当箱の包みを取り出す。


うぅ……、理々乃ちゃんに一人で食べるとは言ったものの、やはり一人はさみしい
と思う私。
ちょっと場所変えよう……、と思い椅子から立ち上がって私は賑やかな教室を
飛び出した。

私が向かったのは──、いつの日か、音怜くんと初めて会った場所。

ザクザクと芝生を上履きで歩いて、手にはお弁当をぶら下げる。


すると───、だれかが喋っている声が、わずかだけど耳に届いた。

え? 裏庭なんて滅多に人が来ない場所なのに誰かいる……?
私は足を止めて、物陰からそっと視線を先の方へやると──。

そこにいたのは、紛れもなく音怜くんと、もう一人、理々乃ちゃんの姿があった。
あれ……? 確か、部活の集まりがあるとか言っていたはずなのに、どうして
こんなところにいるんだろう……?