顔をあげると、そこには理々乃ちゃんが前に立っていた。
相変わらず耳の下あたりで左右にくくったツインテールが似合うな、と思う。
そして、彼女は心配そうに私を見ていた。

「理々乃ちゃんどうしたの?」

私はなるべく精一杯笑って見せる。


「ちょっとつぼみが心配で来ちゃった。慣れるまでは大変だろうけど、私もできる
だけフォローするからね」
「ありがとう。そう言ってくれて、とっても嬉しいっ……!」


すると、理々乃ちゃんは目をまん丸にした後、「私たち親友でしょ?」と、笑み
をこぼしながらそう私に伝えた。

「あ、そうだつぼみ」
「なあに?」

「私、今日のお昼休み、またバスケ部の話し合いがあるのよ。ごめん! 一緒
にお昼は食べられないの」
「大丈夫だよ、私一人で食べるの慣れてるから」
「そ、そう……? じゃ、じゃあよろしくね! ホントにごめんねっ……!」


それから、理々乃ちゃんはチャイムが鳴ったと同時に、なごり惜しそうに自分の
席へと戻って行った。