ニーナは大学に向かって一目散に走り、ミシェルがすぐ後ろを追いかける。 二人が安全な場所にたどり着くまで、ニーナは立ち止まらなかった。

しばらくするとミシェルは我に返り「ミスキャンパス、あなたは自分の叔父さんを殴っただけじゃない!」と叫んだ。

すると、ニーナが「あの人は私の叔父じゃないわ」と訂正する。

「でも、おじさんって呼んでるじゃない?」

ニーナは「本当の叔父じゃないってこと」と辛抱強く説明した。

「なるほど」とミシェルが頷く。 「でも、じゃあ殴ったりしちゃだめじゃない」

ニーナはひそかに目を泳がせた。

うまくミシェルをかわそうとしているのだ。 そこでニーナは話題を変えた。

「あなただって、あったこともない男の浮気の現場を押さえるとか言っているけれど、一体どういうことよ?」

「ええと、インターネットでお話したのよ!」
ミシェルは恥ずかしそうに顔を手で隠して甘酸っぱい笑顔を見せた。

この子はぞっこん恋に落ちているのだ。

ニーナは「オンラインの恋は危ないわ。 相手に会うときはもっと気をつけなくちゃ」と忠告した。

なにしろ、ミシェルは一度も相手の男に会ったことがないというのに、浮気現場を押さえるつもりだったのだ。 オンライン・デートなんて実際あてにならないわけだ!

ニーナとミシェルはひとしきりおしゃべりをしてから、それぞれ自分の教室に戻った。 ミシェルは去り際に電話番号を教え、サツマイモの借りを返すよう言うのを忘れなかった。実際、彼女はニーナにすぐにでも電話して欲しかったのだ。

その晩以降、ニーナは一週間のあいだジョンと再開することはなかった。 大学の学生たちはまだ、イザベラとニーナに関する投稿で盛り上がっていた。

例の二つの投稿が削除されたとしても、誰もがすでに見てしまっているのだから、 ゴシップは止むはずがない。なにしろ、キャンパス中の全学生の口の端に上っているのだ。