ニーナの酔った柔らかい声がジョンの耳をくすぐる。 彼女の柔らかい唇がうっかり耳に触れたとき吐息が電流のように伝わったので、ジョンは欲望に震えると同時に力が抜け麻痺してしまった。

彼は目をキラキラさせており、ニーナに脅されたばかりだという事はもう忘れてしまったようだ。

一方、ニーナは泥酔しており、 腕と手をだらりとさせて クラクラするようなアルコールの匂いと共に不思議な香りを漂わせていた。

「おい、大丈夫か?」 ジョンが優しげな声で心配そうに尋ねる。

「大丈夫じゃないわ」ニーナはそう言うなり手の力が抜け、ぐったりと彼の腕の中に崩れ落ちた。 「今すぐ家に連れて行って。 死にそうなの」

酔っているせいで傍目にわかるほど混乱していて、話し方も普段とは違う。

二人のやりとりを見ていた会食者たちは皆、ジョンとニーナの間に何かただならぬ関係があるのだと気づきつつあった。

けれども、ジュ氏の目には ニーナの酔った姿が魅力的に映ったようだ。 そして良くない考えを起こし、今こそ彼女を自分のものにする絶好のチャンスだと踏んで、 ジョンからニーナを引き離すべくこう言った。 「シーさん、ルーさんはすっかり酔っていらっしゃるようで。 あなたのお洋服をお汚しになるには及びません。 ここは私が送り返しましょう」

そして内心、「俺のベッドに連れていくけどな」と付け加えた。

そのとき、彼はすでに不埒なシーンを想像していた。

「俺が送る」ジョンが冷酷な口調で断固拒否する。 ジョンも男なので、ジュ氏が 何を企んでいるのかはっきり分かっているのだ。

ニーナの身体はほとんど麻痺してしまっていたが、 しばらくすると、今度は自分が何か酷い事をしでかしそうな予感がし始めた。