『モモちゃん行くところは?』
『……ないですね』
『そっか。実家は嫌なんだよね』
『あんなところに帰るぐらいなら野宿します』

『じゃあさ、うちに来る?』


打算があった。酔っぱらいの亜未夏さんをわざわざうちに連れて帰ったのは、あの変態クソストーカー野郎がいつもみたいに勝手に盗み見て勝手に勘違いしてくれたらいいなって。それであわよくば諦めてくれないかなって。そんな、最低な打算。


それなのにこの人はとんだお人好しで。本当に、もしかしたら俺の所為で火事に巻き込まれた可能性だってあったのに。煤だらけの顔で笑うのだ。自称芸能人だというのに。気さくに、飾らず。