「んじゃ、帰るぞ」


 ……へ? いやいやいや、まだお会計が済んでません!


「雷斗くん、まだドレスのお金を支払ってませんのでっ」


「んなもんとっくに俺が払ったよ。それに俺が羽花に金を出させると思う? 羽花が綺麗になる為なら俺はいくらでも金を出すよ。だから気にする事はないからな」


「な、何言ってるんですかーっ! それは駄目です。ちゃんと自分の分ですから自分で払います!」


「ふーん、軽く二桁は超えるけど?」


「に、二桁!?」


 ひぃぃぃぃい。た、足りなすぎるっ。桁の違いになんだか頭がふらふらする。


「はははっ、いいんだよ。大人しく俺に頼ってくれ、な? それが俺は嬉しいんだからさ」


 頭をポンポンと撫でられなんだか丸め込まれてしまった。


 淡いピンクのカクテルドレス。大きな粒のパールネックレスに、イヤリング。普段だったら絶対履かないような少し高めのヒールに、大人びたストール。決して似合うとは自分では思わないけれど、それでも少しでもこの綺麗で光輝いている宝石のようなこのドレスが私に着てもらえて嬉しいと思ってもらえるように、少しでも大人な女性に近づきたい。雷斗くんの隣に居るのが私でよかった、そう思ってもらえるように頑張りたい。