勢いよく飛びついてきた雷斗くんに抱きしめられている。


「やば、可愛すぎて言葉が出なかったわ。なにそれ、俺以外に見せるの嫌なんだけど」


 嬉しくて、恥ずかしくてカァーッと顔が熱い。絶対赤くなっている。


「ら、雷斗くん?」


 スタッフの人も見ているし恥ずかしいと言っても聞きもせず私を抱きしめて離さない。


「……はぁ、パーティー行きたくねぇな。俺だけが可愛い羽花を独占したいのに」


「な、何言ってるんですかっ! ちゃんとパーティーに出席にしてお父さんに認めてもらわないと私達は前に進めないんですからっ」


「だよなぁ。頑張るしかないよなぁ。よし、このドレスを買おう。すいませんが一緒にこれに似合うパールとヒールを用意してもらってもいいですかね?」


 かしこまりました、とスタッフの方は機敏に反応してくれ、すぐにパールのネックレスとブラックのヒール、グレイのストールが用意された。


 残るは恐ろしいお会計だ。鞄から財布を取り出してギュッと握りしめる。どうか足りますように……