「ご納得して頂いてありがとうございます・・・でも、これからは・・・・鉄の理性を維持するのは無理です。それを伝えるためにも名古屋からこちらに伺いました。」

へ? 維持、無理?


「は?堂々と真緒を食べます宣言か? 百年早いわ!そんなことは俺の屍を越えてからやるんだな。君が真緒をペロリと食べようとする時には徹底的に邪魔してやるからな。」

ほえっ?真緒を食べます宣言?


「・・・堂々と受けて立ちますよ。俺は2年も待ってたんですから・・・ペロリどころか、真緒がトロトロにとろけてもうダメって言うまで味わってから食べますから。」

ひゃあ~!!! トロトロにとろけてもうダメって言うまで味わってから食べるって?!


「は~あ?! ペロリどころかトロトロだと~?!」


なんか凄い破廉恥な会話
しかも、さっきまで劣勢だった岡崎先生がお父さんよりも完全に優位に立っているような気がするのは、あたしの気のせい?

それに、2年待ってたってどういうこと?
あたしが実習行ってたのは1年前なのに・・・

「真緒・・・岡崎先生にちゃんと聴きなさい。なんで2年前から待っていたのかを・・・実習に行ってたの、1年前でしょ?誤差にしてはありすぎでしょ?」


さっきまで冷静だった岡崎先生がお父さんにふっかけられた喧嘩を受けて立ってから、この場で一番冷静な人にのし上がったお母さんがあたしにそう言いながら背中をポンっと押した。


「岡崎先生は1年前の実習最後で真緒に伝えられなかったことをわざわざ高山まで伝えに来てくれている。だからちゃんと全部聞きなさい。彼が今だから伝えたいことをね・・・ほら、闘い途中でKOされて屍になった男よ、邪魔だから行くわよ。」

「・・・真緒ちゃん・・・ペロリもトロトロもダメだって・・・お父さんの代わりにそいつに言っておいてくれ。」

「パパ、往生際悪いわよ。さ、家に帰るわよ。真緒は今日、帰ってこないだろうから。」


お母さんは、岡崎先生のペロリどころかトロトロ宣言に完全KOされて屍化していたお父さんの耳たぶを引っ張りながら、“今日の夕飯と明日の朝食、真緒の分は作らないからね~”と言い、あたしたちの前から颯爽と姿を消した。