わうくんとバイバイした後、またお母さんから連絡がきた。
もうすぐ家に着くみたい。
お母さんとお父さん。きっとお料理よろこんでくれるだろうなぁ。
「あっ…そうだ、お風呂にお湯ためないと」
帰ってすぐ、きっとお風呂に入るだろうから、ポカポカにしておかないと。
そう思い、お風呂に小走りで走る。
ボタンをおして、ほっとひと安心……なんだけど……
ふと目に入ったお風呂にある鏡にうつる私が、なにやらいつもと違っていて驚いた。
小さな猫耳がふたつ、そしてハロウィンらしいフェルトで作られたかぼちゃが、頭の上についている。
「………ふぇ」
思わず間抜けな声が出た。
こんなかわいいもの、つけた覚えなんてない。
記憶をたどって思い浮かんだのは、わうくんとの会話。
__
『もこちゃんちょっとだけ寝てて』
『えぇ?』
―――……
………わうくんが、つけてくれたんだ。
嬉しくて、なんだかくすぐったくて、ふっと笑みが溢れる。
ついでに、わうくんが買い物に出かける前の会話も思い出して、心がポカポカ暖かくなった。
―――…
「かわいいハロウィンの仮装とか、もこちゃんに似合いそうなものも買ってくるね!」
「ふふっ…私はいいよ。恥ずかしいし、それに似合わないよ」
――――…
恥ずかしくて、私なんて似合わないって思ってたのに。
鏡にうつる猫耳姿の自分を見て、
笑ってしまった。
「……わうくん、ありがとう」
今日もまた、
わうくんに癒やされるもこなのでした。
fin.
2021.10.31