「今までの仕事のペースを上げていたのは、恵理と二人で、俺たちのペースで仕事をするためにやらなければならないことをしたかったからなんだ。でも結果として、恵理を驚かせてごめん。」

恵理はその瞬間に思いだした。

「・・・私・・・」
震えだした恵理に気づいた宏貴。
恵理があの夜のことを思い出したことを察して、すぐに話をとめた。

「私・・・なんてこと・・・」
宏貴がすぐに恵理の体を抱き寄せる。

「俺たちの未来は長い。これから先の人生も長い。でも、俺たちは一緒にいられる。二人で進める。」
衝撃に体を震わせていた恵理が、母の手紙を思い出す。
「不安だってもちろんある。でも、この選択は俺たちの人生にとって今、必要なことだって思うんだ。」
力強い宏貴の言葉に恵理は頷いていた。