「・・・」
「それから今住んでる家を引っ越したいって思ってる。仕事のスペースもちゃんと作って、仕事をする。」
「・・・」
宏貴は恵理がいおうとしていることが分かっていた。

「無理はしない。自分たちの範囲の中で仕事をする。恵理も、俺も。」
今の恵理にはすぐに仕事のペースを戻すことは不可能だ。

失った命を忘れられない今、子供も欲しいと考えている。

「未来のために、今踏み出す時かなって。」
宏貴の提案に恵理はすぐに頷くことはできなかった。

まだ経験のないこと。
不安だってある。