しばらく抱きしめあってから、二人はプリンを一緒に食べた。

泣きながら、微笑みあいながら。


そして、その日の夜、宏貴はある計画を恵理に話した。

「独立?」
「そう。はじめは不安定になるかもしれないけど、でも自分たちのペースで納得のいく仕事ができる。ただ、経営に関することはまだわからないことが多いから、この前社長に相談をしたんだ。」
恵理が仕事を休んでいる間、宏貴は未来に向けて動き出していたことを恵理に打ち明けた。

「俺たちが抜けることは今、会社にとってもかなり打撃が大きいって言われた。そのうえで、独立をしてもパートナーシップを結んで、しばらくはお互いの利益になるように仕事を進めたいって提案されたんだ。」
「どういうこと?」
「収益を何パーセントか今の会社に入れる代わりに、経営上必要な手続きとかなにかトラブルが起きた時に助けてもらったりっていう相互関係を保つってこと。俺たちも今まで指名してくれてた企業との仕事を継続して担当もする。どっちにとっても不利益じゃないない提案だった。」