莉音の隣で同じようにバイクをふかしていた青髪の男子が馬鹿にしたように言う。胸がなくても美人な子はいるけれど、私はそうではない。だとしても、他の人に言われるのは別だ。
「だからこそだよ。そういう女子に限って浮気するからなー、気をつけないと俺も二股されてたりするんじゃね?なんつって」
そこで大きく口を開けて笑う莉音は、私の知る莉音とはかけ離れていた。
「ぷっはは!あいつが二股⁉︎あの顔で?」
また青髪の男子が笑いだす。その言葉も十二分傷ついたが、なにより一番傷ついたのは…。
私が、二股しそうだと思われていること。
「あ、青じゃん。いこーぜ」
「ん」
バイクの集団は先程と同じようにブォンブォンふかしながら先に進んでいってしまった。
「…月果」
「…」
「大丈夫だ、ここの窓ガラスは外から見えないようになってる。だからあいつには気づかれていないはずだ。もし正面から見たとしても、きっと月果が乗っているなんてわからない」
「…」
私が何も言わないことを気にしているみたいだったが、風磨はこれ以上何も言ってくることはなかった。