車に着くと、風磨がハンカチを貸してくれた。でも私の壮絶な努力(?)のせいか、もう涙は治っていた。
「ごめん、もういらない」
「なんだよ」
ふはっ、と笑みを浮かべる風磨。彼の様子から、本当に心配してくれていたことがよく分かった。
「泣き止んでよかった。とりあえずシートベルト締めろ。行くぞ」
「うん…」
私がシートベルトを締めるか締めないかのうちに、車は急発進し始めた。
「うわ、もう赤じゃん」
運転してくれている零さんがため息をついて車を停める。その時に、私は隣にバイクが数台止まっているのに気がついた。
そしてそこには、私のよく知る人物がいた。
「莉音…」
ブォンブォンとバイクをふかしている彼がいた。彼は楽しげに仲間と喋っている。駄目だと分かっているのに、私はその会話に耳を傾けてしまった。
「お前水無瀬月果に嘘ついたんだろ?元暴走族だって。でも実際は今でも現役で、しかもアレの取り締まりしてんだもんなー」
「うっせ。それくらい嘘ついたっていいじゃんか、心配なんだよ」
否定しなかった…。私はその事実を信じたくなかった。
「そこまで心配しすぎる必要ある?あいつそこまでモテそうな顔じゃないじゃん?それに胸もないし」