「全く、もう少し自分の身体を大事にしたらどうなんだよ」

ってそれは俺も言えないか、と風磨。

「ごめん…庇ってくれたんだよね…」

「あーそうだな。痛かった」

「…申し訳ないです」

「ん、まあいいけど。あーほらこれじゃね?あんたが欲しがってたやつ」

「あ…」

私は“それ”を風磨からもぎとる。

「おい、礼もねーのかよ」

と文句を言う風磨はあとにして、私はそれをまじまじと見つめる。

「…」

そこには、やっぱり彼の名が刻まれていた。その隣には、彼の個人情報がちらちらと書かれている。そのほかに、黒髪の莉音が映っている写真もピンでとめられていた。

「ねえ…雷神って莉音と繋がっていたの?」

と尋ねると、答えたのは零さんだった。

「繋がってたときもあったかな。一時期はすごく仲がいいって言われてる時もあった。けれどなにがきっかけかは分からないけど、何故か敵対するようになった」

「…そ、っか」

「坂口莉音は最初はすごく良い子だったよ。まあ会ったのはガキの頃だったけどな。でもある時を境に…まだ俺らもガキだったけど。でも…」

「でも?」

その間さえ惜しくて、私は急かすように彼に聞く。

「…あいつ、何かが変わった」

「それって…」

「俺は知らない。けど、あいつはやめとけって言っとく。一体坂口の周りになぜ女子がたかってるか分からないくらいだ。でもあんくらいの顔だったら世の中に腐るほどいる。あんなやつに魅力を感じる方がよくわからない。