「今日塔雅が迎えに来てくれるみたいだし。あーそれに桜龍の人もいるのかな?折角だから会っていったら」

「でも私…族の争いごとに巻き込まれるかもだし…」

「大丈夫だよ。坂口莉音は族の一員かもしれないけど、月果とは付き合っているだけで月果が悪いんじゃないから」

帆奈…。本当に、

「…ありがとう。行って、みようかな」

私はぎこちなく微笑んだ。






放課後。

私はただただ圧倒されていた。

「君が月果ちゃんか。帆奈からは話を聞いてるから。よろしくね」

優しげに微笑むこの人は、帆奈の彼氏さん。えーっと確か、塔雅さんだったっけな。

塔雅さんは莉音よりも明るい金髪をさらりと下ろしていて、髪型は王道のマッシュ。まるで絵本の中から飛び出してきた王子様みたいで、こんな人が喧嘩をするとは到底思えなかった。どちらかといえば召使いを連れて優雅にアフタヌーンティーでも楽しんでいそうだ。

「えっと、よろしくお願いします…」

ぺこりとお辞儀をすると、塔雅さんはくすっと笑った。