「月果ちゃんいい子なんで、これからもよろしく頼みますね」
凛咲ちゃんは赤い顔のまま、柔らかく莉音に微笑みかける。
「…うん。もちろん」
なぜかその二人の間に甘い空気が漂っている気がしたので、慌てて私は莉音を引き離す。
「ほら莉音も学校あるでしょ!ホーム反対側だよ!」
「そんなこと言われなくても。普通にいくよ」
戸惑っている莉音をよそに、私はぐいぐいと彼を押して引き離す。
「はいはい。てか、会ったばっかの人に惚れるようなバカだと思われてるの辛いんだけど」
「…ごめん」
「俺が好きなのは月果だけなんだけど??」
「…ちょ、恥ずかしい」
公共の場で言われるのは初めてだったので、私は顔を真っ赤にさせる。
「ちょっと見せつけないでよ、こっちが恥ずかしい」
凛咲ちゃんはたぶん私と同じくらい顔を赤く染めている。
「あ、もうそろそろ電車来るらしいじゃん。じゃね、月果とかわいい凛咲ちゃん?」
「じゃあね」
「…っ」
というわけで、莉音は反対側のホームに姿を消した。
「凛咲ちゃん…」