たまには料理でも作ってみようかと思い、私は包丁とまな板を取り出す。

とりあえずサラダでも作るか。野菜室をみると、あったのはキュウリとニンジン、だけ。

一応作れないこともないけど、味気ないというか…。


とりあえずまずはニンジンを茹でてみるか。

ニンジンの皮を剥いて茎を切り落として、半分も使わないだろうから三分の一に切って、そのまま水が入った鍋の中にドボン。

そしたらそれをコンロにかけて待つ。

「月果ただいまー…って、おわっ!」

莉音が焦りながら私に近づいてくる。

「たまには料理、手伝えたらなって思って」

と言うと、口をへの字に曲げる彼。

「それは嬉しいけど、わざわざニンジンを塊ごと鍋に突っ込む?」

「突っ込む」

「そこからかよ…」

莉音はやれやれと首を振る。

「ニンジンは切ってから入れた方が火が通りやすいでしょ?」

「あ」

今更ながら気付いた。そうじゃん私が馬鹿だった!

「今から出すね」

「いやいやいや、それはない」

結局そのニンジンはしばらく茹でてから食べることに。

「ごめん…ちょっとでも手伝えればって思って」

「いいよ、月果が料理下手なのはわかってるし。月果にとって負担になるでしょ?それに、月果は将来は料理しなくたっていいんだし」