聞けば聞くほど、莉音に関してはあまりいい噂を聞かない。

聞いた話をまとめると莉音はもしかしたら暴走族にまだ入ってるらしくて、それと女の子とは身体の関係しか持たない。

そんな彼が私をそばに置いていることは、側から見れば異常なのだろう。

私だって不思議だもん。私には何の価値もないはずなのに、なぜ彼は私を選んだのだろう。同情なのだろうか。

もし彼にその質問をしたときの返答がそれだとしたら、私は喜んでいいのだろうか。

それとも、悲しんだ方がいいのだろうか。

「どう、考えられた?」

いつの間にか気づくと目の前には鈴城さんがいて、目の前にあったカップはどちらも空になっていた。

「もう7時だから帰ろうか」

「うん。ありがと、鈴城さん」

と言うと、眉をひそめる彼。

「その、鈴城さんって呼び方やめてくんないかな…?」

もしかして、鈴城さんって呼び方は失礼だったのかな。

「あ、ごめんなさい。様とかつけた方が…?」

「そういうことじゃなくて。他人行儀すぎない?」

「あー、まあ他人ですし?」

「水無瀬さん…じゃ分かった。俺水無瀬さんのこと、これから月果って呼ぶから。だから月果も俺のこと名前で呼んでくんない?」