「単刀直入に言う。坂口莉音は、女とは一夜限りの付き合いだ」
「…は?」
私の口から漏れ出たのは、そんな何の言葉にも満たない音だった。
「あいつは女を道具としか考えていない。ただ快楽を求めるだけだとしか。だから君…水無瀬さんが『愛』を求めるというのであれば、あいつ以外にしな」
「…」
いつか、こんな話をされると思っていた。莉音の見た目からしたら、いくら背が低くてもモテるものはモテるのだ。
「今日もきっと帰りが遅くなるんじゃないかな。どうせあいつといるんだろうし」
「どういうこと…?」
「俺の従姉妹といるんだよ。あいつは相当あの人ににハマってるからな」
「その場所、教えて」
と言うと、彼は呆れたようにこう言う。
「ラブホにでも入って止めるつもり?そんなんで気持ちを繋ぎ止められるとでも思ってんの?」
「…」
たしかに、いざ見てしまえばきっと私は止められないと思う。
「ちゃんと身の程をわきまえろ、とは言わないよ。人は見た目にもよらないって言うし。でもこんなんじゃ、あいつに飽きられるのは時間の問題だと思うよ」