「あんた、もう少しマシな嘘つきなよ」

と言われ、ぎくりとする。

「え」

てっきり分かっていないのかと思ってたけれど、そうではなかったらしい。

「とりあえずここから逃げるよ」

「うん」

私達は後ろを振り返ることなく、ダッと駆け出した。ようやく足を止めたのは駅に着いてからだった。

「あいつは多分、黒曜のメンバーだったと思う。もしかしたら次期幹部かも」

あのオーラからするとって感じだから推測だけどね、と帆奈。

「また族…」

「まあここに住んでいる限り仕方ないよね、ここ治安悪いじゃん?」

「たしかに…」

人通りは多いが繁華街もあるし、大通りを一本でも外れたら一気に人通りが少なくなる。

「まあ気をつけな。じゃね」