「…中学生?」

まず私はそれを言って、しまったと思った。

何故ならその男子が、私をはたと睨みつけていたから。

「背が低くて悪かったな!これでも高校2年生なんですぅ」

高2といったら私より年上じゃないか。人を見た目で判断してはいけない、そう思う材料がまたひとつ揃った。

「…」

「てか大丈夫なのか?こんなに土砂降りなのに傘もささないで」

「…あなたは」

「ん?」

「あなたは、…何故傘をささないの?」

もしかして私と同じように、家を追い出されたんじゃないか。そんな甘い考えが頭をよぎる。私の予想に反して彼はあっさりと答えた。

「ん?だって、これ水を弾くからさ」

やっぱり、違ったか。ちょっとがっかりしていると、また彼は口を開いた。

「生憎傘は持ってないんだけどさ、ん」

「?」

彼は私に手を差し伸べてきた。どういう、こと?

「オレの手ぇつかめよ」

この時何故か彼のことが、すごく頼もしく見えたんだ。