「いや、別に…」
彼氏ができたことは素直に嬉しいけど、それを他人に話そうだなんて思わないし。
その気持ちは莉音とだけ分かち合えれば十分。第一そんなことしたら馬鹿にされるか爆発しろとか言われそうだしね。
「ま、相手も相手だしね。いろいろ気をつけた方がいいよ」
「え…うん」
私が誰と付き合っていることを知っているということは…まさかこの人も暴走族関係の人、ってこと…?
つまりはそれを知った上で莉音の弱みを握ろうと近づいた人なのだろうか…。
「ごめん帆奈、もう出よ」
「え?なんで、まだドーナツ食べてないじゃん」
そんなのより、帆奈と私の安全のほうが大切だ。
「欲しい本あるの忘れてて。早く買いに行こ?」
「うん、わかった」
私達はお金を置くと、
「ごめん、払っといて!」
と言いながらその場を後にした。