「かしこまりました」

ってか、決めるのが早すぎる。私は一日の授業を通してようやく決めたっていうのに。

「月果…」

「水無瀬さん?」

帆奈の声を遮って、とある男子生徒がひょっこりと姿を現した。

男子生徒だと分かるのは、彼が制服を着ていたから。しかもこの制服、私と同じ学校のものだ。

「やっぱり。穂積さんもいる」

帆奈にも目を向ける彼。一体誰?

「あー、僕は同じクラスの鈴城慶弥。水無瀬さんと穂積さんだよね」

よく私の名前を覚えているなと感心する。てかこの人、うちのクラスにいたっけ。

「ちょ、流石に鈴城くんに失礼だわ」

私の顔にモロで出ていたせいか、帆奈がひそひそと私に耳打ちする。