「莉音は私のことを好きって言ってくれたから…もうそれだけで十分だよ」

心配してくれている帆奈の気持ちもわかる。だって元暴走族なんだから。

そんなことを言ったら帆奈は大丈夫なのかなとか心配になるけど。

「そ。それならいいけど」

帆奈はそれっきりそのことについて自分からは決して触れようとしなかった。

「そういえば今日ミチルのドーナツが100円の日じゃない?行こうよ」

「行きたい!!」

ミチルとは学校の正門の反対側にあるカフェ。

普段はちょっと高いけど、数ヶ月に1回、この日になるとドーナツ全品100円という大セールをやっているのだ。

それくらいしかミチルへ行けない私たちの金の無さはともかく、そのドーナツといったら本当に美味しい。

一番人気はありがちなプレーンドーナツだけど、私はあんバタードーナツが好きだったりする。

一方帆奈はピスタチオが練り込まれたドーナツが好きらしい。

だいぶお洒落な雰囲気がしていたから、私はまだそれを食べていない。