あれは、小学生らしいいじめだったなとは今でも思う。
「月果菌がうつるー」
「月果ちゃんの給食は少なめにしよう!」
「雑巾なんてそえたらよくない?」
「それはやばいよー、先生が怒るよー」
特になにか理由があったわけではなかったけれど、私はいじめの標的にされた。
「私は汚くないもん!ちゃんと毎日お風呂に入ってるし!」
最初の方は、そうやって反論していた。
でも、私の言葉は彼らに届くことはなかった。
「風呂に入ってたって、汚いもんは汚いんだよー」
「そうだよ。いくら身体をごしごし擦っても、中身が汚いんだったら全く意味がないよねぇ」
そう言われた時、絶望した記憶がある。
でもせめて外見は清潔にしようと思って、毎日体を特に綺麗に洗うようになった。
髪もきちんと結んで、清潔感が出るように努めた。
それが気に入らなかったらしく、クラスメイトたちは雑巾を洗った水を私にぶっかけたりしてきた。
「あっははー、服が可哀想」
クラスの真ん中で水をかけられ、それを皆に取り囲まれて笑われる有様。
辛くて辛くて、学校に行きたくないとさえ思うようになった。
いっそ、死んでしまいたいとすら思うようになってしまった。