「何のつもりだ」
「莉音さん、私を抱いて」
「…は?」
案の定、怪訝な顔をする莉音。でもそれ以上凛咲ちゃんの言葉を待つこともなく、彼はそのまま彼女に歩み寄る。
と思うと、いきなり握りつぶすように凛咲ちゃんの胸を掴んだ莉音。凛咲ちゃんはその力の強さに圧倒されていた。私は心配げにそれを眺める。胸潰れちゃって…ないよね?ってか、莉音ってやっぱり、おっぱい大きい子に興奮しちゃうのかな…?
「これさ、パッドで盛ってんだろ?」
その胸は可哀想なほどにぎゅっと萎んだ。
「——っ…」
真っ赤な顔をする凛咲ちゃん。びっくりだ、私は全く気づかなかったから。
「こういうコスい真似するやつ、俺まじで嫌いなんだけど」
ギッと睨んだ莉音の目は、恐ろしいほど冷たかった。
「…っ」
「それとも、何。キスでもすればいいわけ?おっぱい揉めば好きになるのやめてくれんの?それとも、シたらやめてくれるってわけ?」
「…」
シリアスな雰囲気なくせに、私だけ笑いが漏れちゃうのは私が変態なせいではなく…、莉音の言葉のチョイスが悪いだけ。
「じゃないだろ?余計辛くなるだけじゃん。俺は別に構わないけど、辛くなるのは月果とお前なだけだから」
その言葉には、莉音のやさしさが含まれていた。
「…やっぱり、月果ちゃんのことが大好きなんですね」
ちょっと微笑んだ凛咲ちゃん。その顔は偽りの笑みを浮かべていた。見る人すべてが辛いと感じる、そんな笑みだった。
「まあな。な、月果?出てこい」
私は言われた通りに二人の前に姿を現した。凛咲ちゃんの顔がぐにゃりと歪む。
「ごめん。…最後まで、見てた」