『隠れた』

『隠れた?』

返信が被って笑いそうになる。

『じゃ、見てて。途中で出てこないでよ』

何を?かは分からないが、とりあえずOKのスタンプを送信しておいた。

少し待っていると、莉音が現れた。その隣にはなぜか、…凛咲ちゃんがいた。

凛咲ちゃんは露出の多い服を着て、莉音に腕を絡めている。その細い身体から不自然に突き出した胸は、想像以上に大きかった。私だろうが私じゃなかろうか、これは凛咲ちゃんを見た皆が思うことなんじゃないかなと思うほどだった。

「莉音さん、私、ここら辺が苦しくて…ちょっとだけ慰めて貰えません?」

凛咲ちゃんは胸の辺りに手を弄らせる。ちょ、何!そんなことされたら別の意味でドキドキしてしまう。てゆーか気にするのそこじゃない、莉音耐えて!

「ごめん、そーゆーの興味ないから」

莉音は冷たくあしらう。その冷たさがある程度心地よくて、私はほっと息を吐き出す。と思うと、凛咲ちゃんは爆弾を落とす。

「なんで…っ、なんで私を好きになってくれないんですか!」

莉音は隠すこともなく顔を歪めた。凛咲ちゃんのことを一瞬見たあと、彼はこう続けた。

「細すぎるし、第一そういう質問も腹立つ。何で好きになってくれないの、だなんてなんで俺が答えなきゃいけないんだよ」

莉音のイラついている様子が手に取るようによく分かった。客観的に見てもそれが正論だということは、多分凛咲ちゃんが一番よくわかっているはずだ。

「それは…私はこんなに莉音さんのことが好きなのに、莉音さんはずっと月果ちゃんしか見ていないじゃないですか」

凛咲ちゃんの声が震え始める。

「そりゃあ、な。どんなに可愛くなろうと努力していようと、俺は初めて出会ったときを重視するから。お前は最初からモブでしかなかったわけだ」

「そっ…そんなっ…」

泣きそうになる凛咲ちゃん。と思えば、バサッと洋服を脱ぎ捨てた。華奢な肩が痛々しかった。