私は6限の授業が終わると、ばっと急いでスマホを手に取った。莉音に凛咲ちゃんのことを一刻でも早く伝えてあげたかった。

このままじゃ、莉音が危ない。

『学校終わった』

メッセージを送信すると、数分して既読がついた。

『ごめん、ここまで来て』

画像と共に文章が送られてきた。指定された場所はここから三駅離れた駅の繁華街だった。

どういうこと…?はてなのマークが頭の上にたくさん浮かんだのがわかった。でも、私は彼に

『分かった』

と返事をし、電源を落とした。

「ごめん!ちょっと急ぐから先帰ってる」

私は帆奈に適当に言って教室を出ようとした、が。

誰かが私の前に立ち塞がった。

思わずチッと舌打ちをしてしまいそうになりながら相手を見上げると、目の前には鈴城くんが立っていた。

「あー、急ぐんなら俺のバイク乗ってく?今日はいろいろあってバイクでさ」

「いや、…」

正直ありがたいけど、鈴城くんはなんとなく信用できない。

「変なとこに連れてったりしないから。ただ足に使ってくれるだけでいいし」

ほんとかな。一刻を争う事態と言われればそういうわけじゃないけど、これで目的地と違う場所に連れて行かれたらひとたまりもない。

「…じゃあ、お言葉に甘えます」

結局、そうなった。





「行き先ってどこ?」

「あのー、…〇〇駅の繁華街」

言った途端、怪訝な顔をする鈴城くん。

「そんなとこ一人で行くの?護衛しよっか…」

「いい。待ち合わせしてるから」

「そっか。ま、乗りな」

鈴城くんのバイクは意外と普通だった。大きさで言えば原付と大して変わらないくらい。でも原付ほどダサいわけじゃなくて、かといって暴走族らしいゴツさといわれるとそうでもない。ちょっとお洒落な原付って感じ、なのかな。