「凛咲ちゃんは…」
と尋ねると、
「私は今日学校サボることにしてるから」
正直ほっとした。正直このまま重苦しい雰囲気の中凛咲ちゃんと歩きたくなかった。
「…そっか。じゃあ、バイバイ」
私はベンチから立ち上がって彼女に告げた。
「ばいばい」
先程までぐずぐず泣いていたのに、凛咲ちゃんは晴れやかな笑みを浮かべた。
…何それ、どういうことなの。
そのときの私は気を遣ってくれているのかなとかいう考えは思いもせず、ただ馬鹿にされているようにしか思えなかった。
その後ろで凛咲ちゃんがどんな表情をしていたかは、もちろん気にする余地もなかった。
学校に着いてスマホをみると、一件のメッセージが届いていた。
アプリを開くと、それは“Rion”からのメッセージだった。
そうそう、電話番号を交換したおかげで直接やったわけじゃないけど自然と友達として入ってきたんだよね。
本当はそういうサービスをオフにしないといけないのかもだけど、よくわからないしいいかと思ってそのままにしてある。
『今日の放課後、時間ある?』
『あるけど…』
と送ると、すぐに既読がついた。
『あの子のことで話したいことがあるから』
『あの子って…凛咲ちゃん?』
『そう。だから教室で待っててほしい』
『うん』
まさか教室までまで迎えにくるとかじゃないよね…?
「月果、彼氏とやりとり中?」
後ろから抱きついてきたのは帆奈。まさか今の画面見られてた?別に見られちゃいけないことではないけど…
「あー、うん」
と生返事をすると、
「そっかそっかー、もしかして今日迎えに来るの?」
「あー、まあそうなのかな」
「いいじゃん。私よく噂では坂口莉音のこと聞くけど、実際に会ったことはないんだよね。こっそり覗いちゃお」
「ちょ!そんなことしなくていいから!」
「えー、月果のデレ顔見たいー」
「それは俺も同感かな」