そんな大事なことをホームで話すわけにもいかず、私達は公園に寄ることにした。
「私ね」
ベンチに腰掛けた途端、凛咲ちゃんが私に向かって反射的にそう言った。
でもすぐに何かを言うわけでもなく、何回も言い直しながら言葉をすこしずつ紡いでいた。
「私ね…私っ…私、
…莉音さんのことが好きなの」
えっ、と言葉が漏れそうになって慌てて口を押さえる。それくらい衝撃的な事実だった。
「…」
「ごめん。月果ちゃんの彼氏なのに。でも、…抑えられなかった。ごめんっ…」
凛咲ちゃんは視線を下に向けた。そんな風に絞り出すように言われちゃ、何も言えない。その細い方が小刻みに揺れているのを、私は何もできずに見つめていた。
「…ごめん、取り乱して…」
と言って視線を私に向けた凛咲ちゃんの鼻は真っ赤になっていた。
「ううん」
ここでどうしてあげるのが正解なのかわからなかった私は、とりあえず彼女のペースに合わせることにした。
そして彼女はまた重い口を開いた。
「月果ちゃん、私…莉音さんに告白したい」
「えっ、告白…?」
「うん、だって少しでも望みがあるなら…って」
何を言ってるの?私は思わず眉間に皺を寄せてしまう。さっきまでごめんごめん謝ってたくせに、態度変えるの早すぎない?普通は彼女が嫌な思いをするって考えなかったの?
「…そう」
結局彼女に返したのはこの言葉だけだった。凛咲ちゃんが自己中なのか私の思うことがおかしいのかは分からないけど、どちらにしろ私は不快でしかなかった。不快極まりなかった。
「話はこれで終わりだから、学校行っていいよ」
それだけ?いや、私にとっては大分ショッキングな出来事だったんだけど…時間にしては十分もかかっていないような気がする。